言葉は魔法だ。
うまく紡がれた言葉は人の心にまで届く。
私にはその力は無いが、世の中には大勢の言葉の魔法使いがいらっしゃる。
例えば、
「補償は生涯変わらず、掛け金は月々たったの・・・」
これはとある保険会社のCMのもじりだが、この言葉を聞けば、掛け金が生涯変わらないと思われる方も多い筈。
よ〜く小さな文字を見れば、掛け金は相応に上がっていく事がちゃんと書かれてある。
これの善し悪しは別にして、この言葉を考え出した人は結構な魔法の使い手だと思う。
一方で、私が言うのもおこがましいのだが、もう少し何とか、と思う魔法使いの方もいらっしゃる。
新聞のテレビ欄を見れば、「!」「奇跡」「衝撃」「感動」「爆笑」「号泣」。
あまりにも乱立するものだから、本当の言葉が埋もれて見えなくなってしまう。
ちなみに、「号泣」と予告された番組で本当に号泣されてるのを見た事は、たまたまだとは思うが、私は未だに無い。
少々昔の事だが、テレビ欄で「日本一」が乱立した後、「世界一」が乱立し、その後「宇宙一」にまで進化した時には心底驚いた。
さすがに暫くして無くなったが、こういう事は繰り返すらしい。
そんな中、少し前のテレビ欄でひと際目立つ番組予告があった。
短いタイトルと、主演級の俳優さんお二人の名前だけが書いてあり、あとは余白。
その「余白」という見えない言葉に唸ってしまった。
敢えて残された「余白」の意味を得ようと脳が必死に奔走する。
この言葉を紡いだお方は相当な魔法の使い手だと思う。
今まで流れていたCMの決まり文句を、敢えて途中までしか言わない、というのもあった。
不思議なもので、突然聞けなくなったその言葉を、逆に意識してしまうのだ。
「行間を読む」という言葉さえも聞かなくなった今日この頃
みたまんま